日大全共闘敗北宣言 《前 編》

日大全共闘敗北宣言 前編

日大全共闘敗北宣言 について

 学祖、山田顕義は明治憲法の草案に貢献した。
遣欧使節の一員としてみたドイツの憲法の背骨を、キリスト教が大きく影響しているのを知り、日本帝国憲法に「神道」を添えるべく、「皇典講究所」を設置し、〈憲法=神道=天皇〉の体制を創り上げた。
それを母体とする教育機関が、國學院大学と日本大学である。

 昭和に入り、世情不安の中、「大政翼賛会」が生まれ、〈軍国主義、帝国主義〉が〈日本精神〉として跋扈した。
敗戦とともに、GHQ にすべてを解体されるが、教育機関のスポーツに『上意下達思想』が生き残り、特に日本大学においては、古田重二郎(柔道)、柴田勝治(ボクシング)、田中英寿(相撲)に継承された。
この組織論は、〈ヒエラルキー〉の頂点を絶対的とし、〈押忍の精神=忍耐〉として生き残った。
自民党政権、保守勢力とともに、特に戦後の工業経済のパラダイムとして陰に陽に生き延びてきた。

 今回の「日大事件」は、本人も知らぬうちに、取り巻きの忖度で上り詰めた相撲王、田中元理事長の長期に渡ることからの油断と身から出た錆にみえる。
『背任容疑』で詰め切れなかったところを、『所得税法違反』という重罪容疑による逮捕となり、文科省にも見捨てられ、理事長職を辞任せざる得ないところまでに追い詰められた。
哀れ元『関東軍』の末路である。

 根を根絶するには、理事会、監査室、ガバナンス、OB 会組織、日本相撲協会、追手風部屋と遠藤ルートの解明だろう。
この辺から八百長や暴力団との関係も見えてくるのではないか?
今回は政界よりもこちら方ではないかと思う。
多分、自民党はとっくに日大から離れている(理事から政治家が消えている)。
古田よりも数段スケールの小さな男を過大評価した。
むしろ取り巻きが甘い汁を飲んできたのではないか(利用された)。
捜査当局に大いにエールを送ろう。
文科省はいち早く学校法人の見直しを始めた。
全国にある学法のミニ理事長達にはとんだ迷惑に違いない。

 一番の心配は、この心棒を失った日本大学の今後の行く末である。
この難局を乗り越える根本的な改革が求められる『社会から尊敬される大学』づくり。
これからの 10年間、漸く、本格的な改革が始められる。
どのような大学像を描くのか?次世代に希望をつなぐことにしよう。

 元全共闘の一員として、漸く、ここにヘルメットを脱ぎ、タオルを外し、ゲバ棒を置くことができる。
あれから50年もの月日がたった。

サイト運営:三谷徹男
blog:カルチベート(cultivate)

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